講師の速水氏が経営する速水林業を通じて林業の経営と地球上の森林について、ご講演いただいた。
講演と配布された資料に基づく地球上、特に日本の森林環境については、以下の通りである。
世界の森林面積は、約40億ha(ヘクタール)。地球全体で約10%が森林。
世界の森林の95%が天然林で、5%が人工林である。
日本は、国土の約2,500万ha=67%が森林。
そのうち、約1,000万haが人工林で、残りの約1,300万haが天然林である。
人工林: 主に木材の生産目的で人の手で育てられている森林で、森林面積の約40%を占め、
ノキ・カラマツなど比較的成長が早い針葉樹林。
天然林: 自然の力で育てられている森林で、森林面積の約50%を占める広葉樹林。
日本では、人の手が全く入っていない森林「原生林」は、ほとんど残されていないが、屋久島や白神山地・知床などが原生林として世界遺産の自然遺産として登録されている。
原生林は、その中に入るだけで美しさを感じられる。人工林は、手入れ次第で美しくなる。
美しい森とは、多様な植物・土壌微生物・虫たち・鳥類・動物が住む森林である。
地球上の陸生生物の2/3は、原生林に生息している。地球上の哺乳類の24%・鳥類の12%・植物の14%は、既に絶滅している。
森林管理は、光の管理で地面まで光を届かせることである。それによって、地表に下草が発生し腐食土が堆積し豊かな土壌になる。発芽した広葉樹が林内に育ち人工林の植生の多様性が確保されることになる。そして、土壌微生物、鳥類、野生動物などが増加し、また雨が地下水になる割合も増し地表流水が減り、流れ出る水も美しくなる。
日本は木材需要の80%を輸入している。輸入木材の20%は違法に伐採されたもの。特に中国からの輸入の32%は違法伐採されたものである。
違法伐採は、森林破壊の大きな原因で、森林に依存し生活している人々の人権を踏みにじり命を奪う可能性まである。持続的でない森林管理の木材と違法伐採の木材は、市場価格を破壊し、持続的な管理を不可能にさせる。
その様なリスクを森林認証によって回避できる。それがFSC(本部をドイツのボンに置く「森林認証制度」を運営する非営利、非政府の国際組織)森林認証である。FSCの森林認証制度は、森林の管理や伐採が、環境や地域社会に配慮して行なわれているかどうかを、信頼できるシステムで評価し、それが行なわれている森林を認証する。そして、その森林から生産された木材や木材製品(紙製品を含む)に、独自のロゴマークを付け、市場に流通させている。つまり、FSCのロゴマークの付いた製品は、「適切に管理された森林」に由来する製品であると保証された、「環境配慮型の商品」である。
そして、我々一般の消費者は、木材製品や紙製品を購入する時に、FSCのロゴマークの付いたものを選ぶことで、適切な森林管理を行なっている林業者を支援することができ、それが、ひいては世界の森林保全に貢献することなる。
以上が速水氏の講演による森林環境に関する内容ですが、3.11の福島第一原発の事故以来、Co2排出削減などの温暖化対策という言葉が聞えなくなっている気がしております。我々は正しい知識を身につけ、氾濫する情報を選別し、多方面から地球環境を意識しながら生活(行動)をして行かなければならないと思っております。
記録 事務長 清水弘之